神奈川県行政書士会緑支部

解説-遺言・相続

(1)遺言書(ゆいごんしょ)

遺言書とは

・遺言書は、ご自身が亡くなった後、自分の財産を誰にどう分けるかを決めておく文書です。
・遺言書は、原則、満15歳以上の方なら誰でも作成することができます。
・遺言書は、ご自身の亡くなった後の法律関係を定める最終の意思表示であり、ご自身がお亡くなりになった後に、その法律効果が生じます。
・最終の意思表示といっても、いつでも何度でも書き直すことができるものなので、環境の変化に応じて遺言書を修正することも可能です。また、元気なうちに、ご自身の意思がはっきりしている間に作成することをおすすめします。
・遺言書は、ご自身の亡くなった後に効力が生じるものなので、ご本人がいなくなってしまった以上、ご本人の意思を確認することができません。その為、遺言書の書き方は法律によって、厳格に定められています。書き方に間違いがあるとせっかく書いた遺言書が効力を発揮しなくなる恐れもありますので、遺言書作成には専門家である行政書士にご相談ください。

遺言書の種類

・遺言書の種類には主に公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
 ①公正証書遺言は、公証役場で作成する法的に一番確実な遺言書です。

 ②自筆証書遺言は、ご自身で書く遺言書で一番手軽に作成することができる遺言書です。

 ③秘密証書遺言は、遺言内容を秘密にしたまま公証人にその存在を証明してもらう遺言書です。
※実際に多く作られているのは①公正証書遺言と②自筆証書遺言です。
  (※遺言の種類には上記の一般方式の他にも、危急時などの特別方式による遺言もあります。) 

遺言書を書くメリット

①自分の死後の財産の分け方を自分で決めておくことができる
「誰に、どの財産を、どれだけ分けるか」を自分自身で決めておくことができます。
また、相続人以外で財産を分けたい場合など、遺言書があるとスムーズにお手続きできる場合もあります。

②相続争いの防止
遺言書がない場合、通常、相続人全員で遺産分割協議を行います。
「誰が預貯金をもらうのか?誰が実家の不動産をもらうのか?」
残されたご遺族だけでは解決できない話し合いもあります。
ご自身が「どう財産を分けて欲しいのか?どのように処分して欲しいのか?」を形に残すことで、ご遺族にとって不要な相続争いを未然に防止するためのものでもあります。

③遺言執行者の選任で迅速な相続手続きが可能
書いた遺言書の内容を確実に実行するためには遺言執行者を定めておくことをお勧めします。
遺言執行者は、相続人の代わりに相続財産を管理し、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする者です。
遺言執行者が指定されていれば、迅速に手続きが可能です。

④ご遺族へ想いを残すことができる
遺言書というと法律的な無味乾燥なものをイメージされる方もいらっしゃるかと思います。
遺言書には、財産の分け方だけでなく、ご家族への感謝の気持ちや想いを表現することもできます。
想いを形にすることは残されたご遺族にとって、とても強いメッセージとなります。
 ※このほかにも、遺言書を書くメリットはたくさんあります。
遺言書はその種類を問わず、いつでも何度でも書き直すことができますので、置かれている状況や環境の変化に応じて修正することができます。

遺言書作成の注意点

①書き方に注意!
  遺言書は、ご自身の最終的な意思表示です。
他人による偽造・捏造を防ぐためにも遺言の方式は、法律で厳格に定められています。
この方式に従わない遺言書は効力を生じないものとされてしまいます!

②誰が相続人になるのかに注意!
遺言書を書いても、相続人の遺留分に抵触する部分については注意が必要です!!
(※遺留分を侵害されている相続人が遺留分減殺請求権を行使した場合、その部分については、効果が失われることがあります)
誰が相続人で、どれだけの遺留分があるのかを把握した上で、遺言書を作成してください!!

③財産の記載漏れに注意!
遺言書に財産の記載漏れがあると、その財産については、別途、遺産分割協議を行う必要が生じる場合もあります。
作成にあたっては、しっかりと財産の調査を行ってください!!(財産をあますことなく記載する工夫が必要です。財産の書きかたにもコツがありますよ。)

公正証書遺言と自筆証書遺言の比較

 

項目名 メリット デメリット
公正証書遺言 ①法的な信用力が抜群!

②銀行や役所等ですぐにそのまま使える!

③相続争いの危険性がほぼ回避される!
×作るのに時間がかかる。

×作るのにお金がかかる。
自筆証書遺言 ①いつでも簡単に作れる!

②費用がかからない!
×書き方に間違いがあると無効となり得る。

×死後、裁判所での検認手続きなどが必要。

→遺言書はその書き方が法律により厳格に定められており、その書き方に間違いがあるとせっかく書いた遺言書が効力のないものとなってしまうこともあります。
 そうならないためにも行政書士による遺言書の作成サポートをお勧め致します。

②相続手続きについて

ご家族の方がお亡くなりになったときの一般的なお手続きの流れ

①遺言書があるか確認。
・遺言書がある場合、遺言書の内容に従い相続手続きをすることが可能です。

②遺言書がない場合(または遺言書に不備がある場合)、相続人間で話し合い(遺産分割協議)を行う。
・遺産分割協議は相続人全員で行います。
・一人でも協議内容に賛成できない人がいる場合、その他の相続人が賛成していたとしても遺産分割協議は成立しません。

③遺産分割協議の結果(または法定相続分)に従い、預貯金の解約や不動産の登記名義の変更手続きを行う。
・各金融機関や法務局などで必要な相続の手続きを行います。

→あくまでも一般的な手続きの流れであり、ご相続のパターンはお一人お一人千差万別です。
「戸籍はどのように集めるのか?」「遺産分割協議書には具体的にどう記載したらよいのか?」などご不明な点があれば、お気軽に行政書士にお問い合わせください。
(※なお、行政書士法上、一部ご相談に応じることはできない場合もございます。予めご了承ください。)

遺産分割協議書作成における注意点

①相続人の特定
・相続人の特定は、通常、お亡くなりになった方の出生から死亡までの戸籍(除籍・原戸籍)を集めて、誰が相続人になるのかを正確に特定します。
・ご遺族の方が知らなかった相続人(前妻との子や結婚前の子等)が戸籍等から発見された場合、その方にも遺産分割協議に参加して頂かなくてはなりませんので、相続人の特定にはご注意ください。 

②相続財産の特定
・お亡くなりになった方の財産を特定します。
・預貯金はいくらあるのか?株は持っていたか?不動産は他にないか?車は何台あるのか?などお亡くなりになった方の財産すべてをできるだけ正確に調査し、遺産分割協議書に記載します。
・遺産分割協議が成立した後、他に財産があることがわかった場合、その財産について再度、遺産分割協議書を作成する必要がある場合もあります。相続財産の特定にはご注意ください。

③成年後見制度

成年後見制度とは

認知症の方や知的障害のある方、精神障害のある方など判断能力が不十分な方々の権利を保護するための制度です。契約などの法律行為や財産管理を支援します。

成年後見の種類

成年後見制度には「任意後見制度」と「法定後見制度」があります。

①任意後見制度とは
・将来、自分が認知証などで判断能力が不十分になったときに備えて、事前に自らが選んだ代理人に自分の生活や財産管理に関する事務について代理権を与える契約を公正証書で結んでおくという制度です。

②法定後見制度とは
・すでに認知証などで判断能力が不十分となっている方のために、家庭裁判所から選ばれた成年後見人等がご本人の利益を考えながら、契約などの法律行為や財産管理を行う制度です。

成年後見人等の役割

・成年後見人等は判断能力が不十分となった方のために、家庭裁判所から与えられた権限の範囲内で契約などの法律行為や財産管理を行います。

成年後見人等ができないこと

×介助、家の清掃、病院への付き添いなどの事実行為をすること
 ・ヘルパー等の別の専門家の分野となり、成年後見人等に代理権が与えられるものではありません。

×医療行為への同意すること
 ・手術や延命措置等の判断はご本人固有のものであり、成年後見人等に代理権が与えられるものではありません。

×身元保証人や入院保証人になること

Return Top